春暁事変

――そしてこのまま事態が推移していくならば、南方軍団全体が再び中央軍のものとなってしまうのも時間の問題だという事実を認識させられたのだった。……しかしその後、あの理解不能な「春暁事変」が発生することとなった。その年の春、戦争仲裁委員会によるあの大虐殺が発生したのだ。(注:その後の銀狼事件については南方軍団史の範囲には属さないため、本書では敢えて言及しない。)
戦争仲裁委員会による軍団歴43年春の血みどろの虐殺事件は、南方のすべての人々を驚かせた。人々の考えはふたつに大きく割れた。ひとつは、委員会による崩壊災害への対処方法を支持するというもの。もうひとつは、委員会のやり方は絶対に受け入れられるものではない、委員会にはもはや地球南部の人々を統治する資格などなく、それ以上に世界兵団の総司令官の資格などないとするものだ。結局、戦争仲裁委員会の勢いはそれにより失われ、啓蒙師団による中立割拠の宣言もあり、軍神の側近たちも戦争によって南方を統一する力はもはやないことを認めざるを得ない状況となった。
アクリア:軍団歴43年、春暁事変の際、ある都市が崩壊エネルギーの危機に陥り、当局は非人道的な対応策を取った——これが原因となり、崩壊の英雄の一人である「ウラルの銀狼」が再び人々の前に姿を現しました。 アクリア:彼女、ブローニャは自身の人脈と名声を駆使し、できる限り多くの難民を助け出しました。 アクリア:その結果として「地脈」が結成され、現在では世界各地で人道支援を行う独立組織となっています。
イルマ:そしてその答えを、軍団暦43年になってようやく見出したの。 ラニアット:春暁事変ですね…… イルマは頷いた。 イルマ:軍隊が罪のない民衆を弾圧するのを見て、私は秦針虎の気持ちがすぐに理解できたわ。