サクリフィス・ロア

名前:サクリフィス・ロア
所属:ロア家
肩書:魔樹の騎士
聖痕:「死者の散歩」の聖痕使い
ロア家の当主。
メミニの母。
ラヴィニアを崇拝している。
元帥親衛隊の「呪言の騎士」を討ち取ったものの、相手の聖痕の力を受けてしまい、余命わずかとなった。
重傷から回復せず、現代医療を信じなくなり、伝統医学に生きる望みをすべて託した。
プラセボ効果しかない薬草療法の影響を受け、高額な税金を徴収した後にその治療法を積極的に推進した。
ツツジ:これから私が語るのは、世界契約連盟の加盟国でありながらも、誰にも注目されず、誰にも気にかけられない小国の物語よ。 ツツジ:その土地の社会秩序は、すでに崩壊していたの。権力者は民衆の苦しみを無視し、校舎は朽ち果て、インフラも荒廃し、工業や農業の発展なんて論外だった。 灰ネズミ:……権力者はマフィアのボス、あるいは奴隷の主のように、民衆を支配し虐待していたんですね。 ツツジ:余波戦争——各国の骨髄さえ搾り取った現代の大惨事の中でも、その小国は噛み終えたガムのように無造作に捨て去られていた。 ツツジ:ひび割れた大地に希望は芽生えず、無知な瞳に文字は映らず、錆びついた工場の骨組みは風に吹かれ軋んでいた。 ツツジ:巨大な戦略の箱庭——世界契約連盟は小国に一体何を求めたのかしら? 灰ネズミ:……一点注意させてください。あなたはただの物語を語っているだけで、その真偽は確認のしようがありません。 ツツジ:まあ、私たちの物語を続けましょう。小国の答えは——血漿と臓器だったの。 ツツジ:小国の経済は病院さえ存在できないほど悪化していたわ。だから、世契連の兵士たちは、住民を家畜のように木の下に追い立て……注射針や点滴などの医療廃棄物はその場で捨てられ、木に掛けられていたの。 ツツジ:血を抜かれて弱くなった民衆に、兵士たちはパンと水を配給したわ。でも、支配者に飼われた手下たちは、自分たちの食料にするために、それらを全て没収してしまうの。 ツツジ:だから——人々はそれらの木々を恐れているのよ。 ツツジ:月明かりの下に、魔樹の仮面をつけた祭司が現れた。 ツツジ:祭司の知恵は古井戸のように深く、難民たちと交わりを持ったわ。彼は人々が忘れ去った古い神々について語り、薬草による治療の秘訣を説き、死後の魂の行方を教えた。 ツツジ:でも、一番不思議なことは、別のこと……彼の祝福を受けた人々は、死ぬ時に苦しむことなく、温かい牛乳に浸かった時のように、うつらうつらと眠りについていったの。 ツツジ:そして、その祭司の後ろには魔女がいた。彼女は不思議な少女だったの。 ツツジ:彼女は真夜中に燐火と舞を共にする……その時、木に吊るされた反逆者の亡者たちが、彼女のリズムに呼応するのよ。 ツツジ:死者は、再び口を開くことができるようになるの。 ツツジ:愛する者を失った難民たちは、束の間の救いを得た。 ツツジ:でも、祭司と魔女が休息を取っていたのも、その木々だった。 ツツジ:だから——人々はそれらの木々を好むようになり、木々が救いをもたらしたと考えるようになった。 灰ネズミ:祭司と魔女は排除されなかったのですね? ツツジ:ええ、祭司と魔女は魔樹の代弁者を名乗り、それによって彼らは信者を得たのよ。 ツツジ:でも実際、魔女は、自身が従う祭司が、神を信じていないことを知っていた。 ツツジ:祭司は無神論者で、医療の専門家であり、世契連の後方支援担当官でもあった。 ツツジ:彼は安楽死の薬を倉庫から盗み出したの。それは、地上で苦しむ人々に希望を持って死ねる機会を与えるためだった。 ツツジ:一方で、魔女の聖痕の力は本物だった。彼女は祭司の娘で、天賦の才を持つ、未来の魔樹の騎士でもあった。 ツツジ:祭司の目には、こう映っていたのよ。心の弱い民衆にとって、善悪に報いがないと信じることは苦しいこと、生きているという事実はより一層苦しいことだと—— ツツジ:だから、祭司にできること、民衆を最大限守る行為は、希望と尊厳ある死を与えることだったのよ。
メミニ:コーデリア、あなたも聖痕騎士なのですから、我が家の起源の伝説を聞いたことがありますよね? コーデリア:ああ、あの祭司と魔女の物語ですね。 コーデリア:その祭司が現当主の父上であることも、彼らがそうした理由も知っています。 コーデリア:それがどうかしましたか? メミニ:私が言いたいのは——祭司が描いた極楽浄土なんて存在しなくても、民衆にそれが存在するのだと信じ込ませることです。それこそが、支配者にとって必要不可欠なんです。 コーデリア:同盟軍には東方軍の支援があり、経済的にも我々に劣っていない。しかし、民衆は、ここが他のどこよりも良い場所だと信じなければなりません。 メミニ:しかし、その起源の伝説はまだ半分しか公開されていないのです。 メミニ:父の後を継いだ魔女は全てを知り、民衆の不幸に心を痛めていたのです。 メミニ:魔女は常に自問していました—— メミニ:「人間は生まれながらにして、喜びと幸せを感じる能力を持っているのに、この世に生を受けるのは、ただ苦しむためだけなのでしょうか?」 メミニ:ある日、魔女はラヴィニア・アヴィニョンの噂を耳にしました。 メミニ:百戦無敗の聖少女、七度も死刑台に立ち、数え切れぬほどの追跡の網をかいくぐった——それも、全ては解放すべき大陸に辿り着くためでした。 メミニ:鎖で縛られた両手で戦鎚を掲げ、世界和平連合に挑戦を突きつけ。 メミニ:赤いマントが硝煙を切り裂き、彼女は人解連に屈することを拒みました。 メミニ:聖少女は、どの組織の駒にもなりません。 コーデリア:Lの伝説はどこにでもあります。それも、よくあることです。 メミニ:……そのため、魔女の目には、百の聖なる名を持つ聖少女が、父を告発する茨の冠となって映ったのです。 メミニ:魔女は父に尋ねました。信者たちを敬虔な心で従わせながら、同時に彼を仰ぎ見る命を自らの手で消し去ることが、どうしてできたのかと。 メミニ:父は「最愛の人を失えば、心は冷たく硬くなるものだ」と言うだけでした。 メミニ:その時、魔女は悟ったのです—— メミニ:自身も超越者に、神になりたいのなら、心を冷たく硬くしなければならないと。